:流れない水は腐る――「良い人」が引き起こす汚職の構図

私が常々思っていたことをズバリ書いているなと思う。また、何か不祥事起こさないでも、後の文章にあるように、『組織が変わろうとしないリスクが増える』のは確かだな。人間ってある時点では革新的でも、落ち着いたら保守的になるのはある意味自然な事ですから、そこをどう仕組みとして流動化させるのかが過去から未来への命題なんだろうな。

中国語には「流水不腐」という言葉があります。流れる水は腐らないという意味です。その裏返しで同じ人物が長くトップを務めると、必ずといってよいほど、水が淀み、腐っていきます。
(中略)
不正行為については、世の中ではよく「良い人」と「悪い人」という単純な構図で説明されます。しかし、歴史的には酷い不正行為ほど、「良い人」によって引き起こされるケースが多いのです。その「良い人」はなぜ悪いことをやってしまうか。それは「長期間の権力が人を腐敗させる」という、我々人間が内面に抱える「負の原理」があるからです。
長く経営のトップをやっている人を見ていると、残念ながらこの「負の理論」が働いているケースが多いのです。女性秘書との曖昧な関係、身内の登用、車や住宅の公私混同などの不正は日常茶飯事です。そもそもこのくらいは不正だと思わないトップも多いでしょう。
(中略)
同じ人間がずっと権力を握ると人材の流動もなくなります。それによってトップの好みに合わない多くの人材が活躍のチャンスを掴めないままになります。最も重要である人材が浪費されることになるのです。
 私もそうでしたが、トップになるのは偶然の場合が多いです。トップの真価はやってみないと分かりません。一度トップになるとずっと続けたくなる、あるいはいつまでもトップのつもりで同じ組織にいたくなりますが、それだけで他の人材をだめにし、組織の将来に大きなリスクを残します。「俺じゃないとダメ」という気持ちは「ここじゃないとダメ」に置き換えて考えると、もっと分かりやすいかもしれません。
【宋 文洲の単刀直入】
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITzv000006102006より