■舞台を訪れる際の注意
今回の作品の舞台は東日本大震災の被災地です。公序良俗に反しないように行動はもちろんのこと、常識を持って行動して下さい。 特に、その場所で騒がない、壊さない、汚さないは守りましょう。よろしくお願いいたしますm(__)m
当ブログでの舞台探訪のポリシーはこちらになります。
さんてつ: 日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道 大震災の記録 (バンチコミックス)
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まず、最初に、東日本大震災により被災された皆様方に心からお見舞い申し上げます。
そして、三陸鉄道のより早い復旧をお祈りいたします。
昨年の夏の終わりに、シフトした夏休みで東北旅行を行い、東日本大震災の被災地も訪れました。訪れた理由は震災から一年半を経過して、メディアでの放映も少なくなり、メディアを通さず直接見ておくべきだと思ったこともあったからでした。
その際に、強く心に残ったのは、三陸鉄道の震災時から復興途上を描いた漫画作品“さんてつ”を読んだからでした。
さんてつの作者吉本浩二さんは「ブラック・ジャック創作秘話」にて、あの漫画の神様と言われた手塚治虫の作品に向ける熱情を実に生々しく愚直なまでに描いておられました。今回も三陸鉄道の社員一人ひとりの生の声を実にドラマチックに描ききっています。それだけにとても感動できる作品ですし、この作品を読んで私も東北の被災地に訪れる気持ちにさせてくれました。今回はその舞台となった三陸鉄道の沿線を紹介する事で舞台探訪記事作成する私が出来る貢献をしたく思ったからでもありました。記事の執筆が遅くなり申し訳ありませんでした。
“さんりく”は震災当時の三陸鉄道の社員の方々の熱い思いをよく伝えてくれ、エピソードによっては涙が止まらなくなるシーンが幾つもあります。東日本大震災に対する気持ちが薄れてきたとお思いの方は是非一度読んでみてください。
●陸前高田
まず、三陸鉄道の沿線に向かう前に、前夜の宿泊地遠野から陸前高田に向かいました。
東北の被災地には陸前高田が始めてだったのですが、海辺の平地の市街地はほぼ建物は残っておらず、破壊を免れている建物もあるなと思い近づいてみると内部が津波で破壊されていました。瓦礫を破壊する重機の音ばかり聞こえて、人はいません。
市の中心部にはバスで乗りつけた方々などが無言で、なんともいえない表情で付近を歩かれていました。
市役所の正面入り口だった部分には、慰霊の千羽鶴などがある慰霊の場所が設けられていました。訪れる方々は沈痛な面持ちで手を合わせていました。
そして、陸前高田の被災者の心の支えになっている奇跡の一本松を是非見ておきたいと思い、なんとか足を運びました。
九月中旬に伐採されて、永久保存加工をされて元に戻されると聞いていたので、その前にと思いました。ずっと残す為に加工して今月に復元されるそうですね。
海沿いに松原があったのですが、残ったのがこの一本だとのこと。
人が入らないように写したのですが、本当に多くの方々が訪れていました。こちらを訪れる方々は、単なる物見遊山の観光客ではなく、皆さん沈痛な面持ちで人の列が途切れることなく来られていました。 松のすぐ後ろの建物は原型を留めておらず、悲惨な姿をさらしています。それだけの破壊力だったのですね。
かなり背の高い松でした。遠くからでも見えることからシンボルになるのも納得できました。
松原の公園があった場所も水没したままで、その間際で母子が遊んでいたのがひどく印象的に見えました。元々こちらには海岸沿いの松原が広がっていたのでしょうね、
●盛駅
陸前高田市から北上して大船渡市に入りました。こちらも臨海部は津波の被害を受けており、“さんてつ”によると三陸鉄道の南リアス線の南端の盛駅まで津波で押された瓦礫が押し寄せてきたそうです。
駅構内は比較的に破壊はされていないのですが、南リアス線は各地で寸断されており復旧中のため鉄道の営業は停止中でした。ですが、駅では地域のコミュニティの場所として活用されていて、物販などもありましたよ。
駅の近くの復興された商店街もありました。また駅近くには本日営業を再開したコンビニがあり、非常に活気に沸いていました。たまたまそちらで買い物をしたのですが、本当に店員もお客さんも嬉しそうだったのが印象的でした。
●恋し浜駅
盛駅から海岸線沿いを北上して、南リアス線の途中の駅の恋し浜駅まできました。途中の車道の山道は本当に細くては曲がりくねっていて、これは鉄道の復旧が急がれる場所の一つだと運転していても痛感しました。
こちらの駅は名前から恋人の聖地として人気のある観光スポットだったそうです。
恋し浜駅の駅舎です。
こちらは恋人たちの聖地という触れ込みでホタテガイの貝殻の絵馬を掲げるところだったのですが、今では復興の願いの絵馬を掲げる場所になっていました。 震災後は応援メッセージを書いたホタテの貝殻が掲示されていました、
私も一筆書こうと思ったら、そのホタテ貝がないほどでした、すごい!
ホタテガイ型の折り紙で納められているものもありました。
いろんなメッセージが掲げられていますね。書いた方々も日本各地から来られている事がわかります。
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この駅で撮影したところ、地元のおじさんが来られて、昨年の当時の話をいろいろお聞きしました。実家は津波にギリギリかぶったそうで、それ以来怖くて、駅近くのプレハブに泊まっているとのこと。どこまで来たのか、直接お話を聞いたので、津波の恐ろしさが改めて痛感できました。下記の写真の真ん中辺りにおじさんの家があるのですが、そこまで津波が来たそうで、確かに写真の中央部の木が途中で折れて半分になっていました。
それ以来そこに住むのが怖くなって、駅の下のプレハブに住んでいるとの事でした。
そんな辛い中でも、昨年の今頃に復興支援で来られた大阪の婦警さんと仲良くなって、運休しているのでトンネルをハイキング気分で歩いてみたなど面白いこともあったよと笑顔を見せてくれましたね。
今は南リアス線は復旧中で運行していないのですが、来年四月には動き出すのでまた来てくれよ!とおじさんの言葉を胸に刻みました。
●三陸駅
さんてつの中で、南リアス線の列車が三陸駅を出発し、南のトンネルに入ったところであの大地震に遭ったシーンが描かれています。
運転士の休石さんの証言による漫画が、当時の恐ろしかった体験と、運転士としてお客さんを無事に三陸駅方面まで誘導した素晴らしさをとてもよく描かれています。
こちらは三陸駅です。
この手前左手の先にトンネルがあります。トンネルそばにも道路があるようなのですが、分からずそちらまでは行けませんでした。
こちらは三陸駅の南側のトンネルを抜けた先です。
指令所の停止命令で即止まらなかった場合はこちらのように線路高架が津波で寸断されていたので、脱線など大きな被害がでたことでしょう。
●釜石駅
南リアス線の北端の駅です。こちらから、先ほどの三陸駅や、恋し浜駅を通って南端の盛駅まで南リアス線があります。
南リアス線は2013年4月に盛駅から吉浜駅まで開通予定でして、さらに吉浜駅から釜石駅までは2014年4月に開通予定だそうです。
新・鉄子の旅の応援切符もありました。
ローソンも仮設プレハブで頑張っていました。店員さんがいつも以上に明るく振舞っていたのは、被災地の皆さんを元気付ける意味合いもあるのだろうと思えました。
●宮古駅
元々行程上時間がないのは分かった上で移動していたのですが、宮古駅に着いたのは21時前でした。宿は盛岡だったので、ここから帰っても23時過ぎなので、せめて宮古駅までは行こうと思って訪れました。おそらく消灯されていて、暗い外観を眺めるだけだろうと。
でも、三陸鉄道の宮古駅の入り口には明かりがともっていて、さらに入れるようです!これはさすがに私も驚きました。
三陸鉄道の本社はこちらの宮古駅にあるので、作者もこちらに最初お話を伺いに行ったそうです。
構内では、待合室にエンドレスで復興に関連する映像がエンドレスで流れていました。あぁ、復興を勇気付ける為にずっと駅を開放しているんだと得心しました。
こちらのメッセージカードの中に、ミンキーモモを描いたカードもあり、よく読むと、おぉ製作に関わった方でしたw私のハンドルネームの一つもMinkyなので余計に驚きましたw
サイン色紙に描かれたものもところ狭しと掲示されていました。すごいですねぇ。
おぉ、さんてつの作者吉本浩二さんの色紙もありました。これを見た瞬間、さんてつの場所を辿っていて、お疲れさん!と言われた気分になりました(^-^)
ホームも電灯がついており、津波の被害があった場所は暗いだけに、この明るさは本当にありがたいですね。
ここからずっと北リアス線が続いています。2011年3月29日に復旧し小本駅までの25.1km区間は開通しています。北端の久慈駅から陸中野田駅の11.1km区間は、震災後五日後の2011年3月16日には復旧して開通しています。さらに陸中野田駅から田野畑駅までも2012年4月1日に開通しました。田野畑駅から小本駅までの区間は2014年4月に開通予定だそうです。
作中の北リアス線の震災当時の一シーンだけ引用します。列車も無事止めることができ、乗客も降ろすことが出来た際のエピソードです。乗り鉄さんがナイスですね:-)