:巷説百物語 DVDBox

巷説百物語アニメ版の全話を見た。
おぎんさんはすごく艶っぽいし、長耳は仕掛けのためいろいろ変化し、又市は妖怪じみた謎の呪で追い込み、最後に“御行為奉”ことで非道を封じる。
主人公の百介は狂言回しのように最初は扱われるが、そのうちに京極堂の描いた筋書きで踊りつつ、最後は皆とともに立てつく。

まず、原作の小説の主題とまるっきり180度ぐらいに変えているところが面白い:-)
小説では『妖怪はいない。だけど世の中の八方塞を打開するために妖怪仕業に見せかけ、人死にを出さずに八方を丸く治める。』
アニメでは『妖怪はいる。それは殺生や非業を好むことで妖怪に心を変化させたかつてヒトだったもの。その闇を狩り均衡を元に戻す。結果死者が出ても、それは既に人ではない。』

小説のままだとどう考えても尺が足りない。じゃあどうしたらいいか?という一つの解だと思う。
「アニメなりの面白さを引き出すために再構成してください、下手に原作に似せようとしてどうにもならない作品にはしないでください」という原作者は凄いなぁ、実際そういう意味の監修チェックはしたらしい。

その結果、主題に近い部分まで変わってしまっているのだけど、アニメはアニメでの動き、変化する絵としての魅力が出てきてゾクゾクさせられた。
もちろん手放しで褒めてはなくてアニメ作品としてはそれぞれの話で良い悪いがあるよ(笑) まず「芝右衛門狸」は真骨頂だと思うなぁ、舞台演劇を見ているような引き込まれ方をしてしまった。逆に原作に近くストーリー性の高い「狐者異」や「七人みさき」は練りこみが足りずに、何で怖いのか非道なのかが見えにくかったな。終盤の京極堂のイケイケぶりはちょっと白けたがまぁいいか(笑)

尺の長い原作を1クールのドラマやアニメ、映画一本に仕立てるというのは、非常に困難だと思う。ある意味、“原作ファン”を裏切るような大きな変更しないことには収まらないだろう。だから、製作陣の腕の見せ所なんだろうなぁ。
ただ、視聴率や興行成績を考えると、どういう風に変えるべきかは、せめぎ合いなんだろうなぁ(^_^; どの業界でも難しいものだ(^_^)

とはいえ、原作付き作品って、結構好きだな。少なくともそれぞれの作品を楽しめるし、その上で二つの作品の差異が楽しめるものね(^-^) なかなかその三つとも楽しめる作品は少ないのだけど(苦笑)